第一章


集客より先に、教室の方向性を決める

方向性が決まれば、教室は動き出す

改めまして。井上智子と申します。この書籍は、「習い事の講師が集客よりもまず先にやるべきこと」を解説していく読み物です。

集客も教室運営も講師の方向性がぶれていたら、多くの場合、うまくいきません。そう、教室運営がうまくいかなくなる時というのは決まって、自分の中の方向性がぶれている時だったりします。

逆にその人の中で方向性が決まって進むべき道が決まれば、すべてがうまく回り出す。

私は生徒さんやクライアントさん、自分の子ども、そして自分自身の人生の中でもそれを体験してきました。

そして、その方向性が自分の中にある気質や性質に基づいたものだったら?その人の人生は自動操縦のようにプラスに動き始める。

多分、これをすることが多くの人の人生を劇的に変える秘訣なんじゃないかななんて思ったりします。

ではどうやるのか?

この物語では、実際に私が相談を受けた方とのエピソードをもとに、会話形式でわかりやすく解説していきますので、ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。


憧れの先生がコミュニティを抜ける理由

「恵子先生!このコミュニティなんで抜けちゃうんですか?」

私がインスタ集客を習っているコミュニティ、月に一回の東京の集まりの帰り道、私が思わず話しかけたのが、私たちのグループのリーダー、恵子先生。

恵子先生は、パン教室を運営され、しかも講師の人を育成されている立場で、とても成功されている私たちにとっての憧れの人。

そんな恵子先生が突然、このコミュニティを抜けると聞いて私はショックで、思わずそう聞かざるを得ませんでした。

恵子先生
あら、直子さん。そんなに焦ってどうしたの?
直子
そ、そりゃ!焦りますよ!恵子先生は私たちの憧れなんですから!そんな方がいきなり辞めるって言ったら!
恵子先生
嬉しい。でも実は3ヶ月前くらいから、コミュニティ本部には抜けたいです、みたいなことは言ってたんだけどね。
直子
そうなんですか!でもなんで?
恵子先生
このコミュニティ、インスタでの集客を習うためのコミュニティじゃない?
直子
そうですね。
恵子先生
本部からリーダーを任されて今までやってきたけど、正直、私、この講座で教えられているインスタの投稿のやり方が苦手だし(笑)、この3ヶ月で実は、集客自体の方向性がガラリと変わっちゃったというか、必要なくなっちゃったんだよね。
直子
え?どういうことですか?
恵子先生
うーん、そうだね。立ち話もあれだからカフェとかで話そうか?
直子
ぜひ!お願いします!

こうして私たちは近くのカフェに入り、恵子先生は話の続きをし始めました。

インスタ集客より大切な違和感

直子
恵子先生、このコミュニティのインスタ集客のやり方が不要になったってどういうことですか?
恵子先生
私はこのコミュニティでリーダーみたいなことをさせてもらってはいるけど、直子さんも知っての通り、正直、インスタ集客うまくいってないでしょ?
直子
私に比べたら恵子先生は十分うまくいってますって!私なんてインスタを始めて一人も集客できてませんから。だから私たちにとっては恵子先生は希望の光だったんです。
恵子先生
そう思ってくれるのは嬉しいんだけど、インスタで集客できているって言っても、私の場合はインスタ見た人が、ブログとかホームページを見に行ってくれて、それを熟読して来てくれる、みたいな形だから、インスタ直で集客できてはいないよ。
直子
そんなこと言ったら私なんて…。
恵子先生
あと、あのやり方だと、インスタから来てくれた人が、私の望む人じゃないというか、ちょっと違うんだよね。あとね、実はこの3ヶ月でね、いろいろなことがあったんだ。実は体も壊していたんだよね…。
直子
え?そうなんですか??
恵子先生
そう。あ、ごめん。暗い話になって。でもそれもあって実はこの3ヶ月で働き方とか考え方が激変したんだよ。もちろんいい意味でね。
直子
えぇ!?何があったんですか?恵子先生に。
恵子先生
ちょっと長くなるけど聞きたい?
直子
もちろん聞きたいです!

体が止まって見えた、本当の課題

恵子先生
えーとね、私、これまで、パンのレッスンを多い時だと、週に5、6回やってきたんだよね。
直子
それだけ生徒さんを集められるのがすごいですよ!私も同じパン教室で自宅で教えてますけど、私なんて週に5回じゃなくて、月に5回がいいとこです!
恵子先生
月に5回でも直子さんの場合は人柄だったり、直子さんのことが好きで来てくれている人たちばかりだと聞いてるからすごいことだと思うよ。
直子
うーん、そうなんですけどね。それだと趣味でやってるとしか思われないんですよー…。
恵子先生
そんなことはないと思うけど、実はね、3ヶ月前、私、月に5回のレッスンさえもできなくなっちゃったんだ。
直子
え?どういうことですか?
恵子先生
実はちょっと前から感じてはいたんだけどね。やる気が出ないとか、疲れやすいなとか、疲れが取れないなとか、それでも無理してレッスンをこなしてたんだけど、3か月前、とうとう起き上がれなくなってしまったんだよね。
直子
ええ!?
恵子先生
それでこれじゃあレッスンは無理だなって思って、生徒さんに迷惑かけちゃうと申し訳ないから、ちょっとしばらくの間、レッスンをお休みさせてもらうって伝えたの。
直子
ええ!?恵子先生そんなことになってたんだあ…。
恵子先生
そう。今となっては、原因は更年期障害だってわかったんだけど、ああなった時はすごい不安だったんだよね。いきなり自分の体と心が動けない感じになってしまったからね。
直子
私はまだ感じないけど、私もそのうちそうなっちゃうのかなあ。
恵子先生
直子さんはまだ感じないかもしれないけど、私の場合はいきなりドーンときちゃったからびっくりしちゃって、更年期も合わさって落ち込んでしまって、まさにうつ状態になってしまったのが3ヶ月前。前向きに何かやろうって気持ちがまったくなくなってしまってね。
直子
ええ!?バリバリの恵子先生は更年期とは無縁だと思ったけど、そんなふうになることもあるんですね…。
恵子先生
自分でもなんともならないのがほんとに怖いよ。私の場合は、私の教室の収入も家族の生活費の一部になってるから、なくなってしまったら子どもの希望の進路に応えてあげられなくなっちゃうとか、旦那にも趣味を減らしてくれって言わないといけなくなっちゃうとか、美容院も行けなくなっちゃうとか、家族と外食もできなくなるとか、ぐるぐるいろいろなことが頭を巡って、どんどん気が滅入っていった。
直子
そ、そんなことになってたんだ…。恵子先生。
恵子先生
そうだよ。このまま治らなかったらどうなるんだろう?今まで普通だったものがなくなってしまう恐怖が自分を襲って、そう考えると売り上げがあったから、今まで家族にわがままを聞いてもらっていたことも見えてきたんだよね。
直子
ええ!?恵子先生って家族に迷惑かけてませんよね?だってこれまでご家族を引っ張ってこられたわけだし。
恵子先生
いやそんなことなくて。例えば、私なんて、パン教室のために、リフォームして独立したキッチンを作ってるんだよ。パン教室やれなくなったらなんのためにリフォームしたんだろう?って。
直子
すごい!理想。私なんて教室うまくいっていないからリフォームする余裕なんてないし、レッスンするたびに私がキッチンとかリビングを占領しちゃうから、旦那や子どもから不満出まくりだし…。
恵子先生
旦那にはお小遣いを渡して、レッスン中は出ていってもらってたんだよね。これまで私のレッスンのためにものすごく協力してもらっていたから、申し訳ないなあって思ったり。
直子
ええ!?私なんてお小遣いなんて渡せないから、「なんで毎回、お前の趣味のために俺が出ていかなきゃいけないんだ!」って怒られてるし、趣味の教室なんて辞めてパートに出てこい!って言われてる。
恵子先生
協会に入ってたけどそれだと制限があるから、オリジナルの仕組みを作って高収益でしがらみがない教室にできていたけど、それってもう役に立たないじゃないか、とか。
直子
ええ!?私には、自分で自分の仕組みを作るアグレッシブさなんてなかった…。だから所属してる協会の仕組みを使ってるから、安いし、ルールも厳しい、インスタとかでは、メンションをつけろと言われる…。
恵子先生
これまで私、かなりの自己投資もさせてもらっていたんだよね。旦那もそれを理解してくれて。でもレッスンができなくなったらそれも無理かなって。
直子
!?なんという理解あるご主人!私なんて、このインスタのコミュニティの参加費も旦那に内緒で投資してるし、貯金も無断で結構使ってる。
恵子先生
それでね、いろいろなことを考えた挙句、リフォームして作ったレッスンスペースの机で抜け殻みたいになって、使われなくなったキッチンを眺めていた時、涙が出てきたんだよね。私、泣くタイプじゃないのに、勝手に涙が出てきて、私は限界だと思った…。
直子
そ、そんなふうにまで…。
恵子先生
そう。悔しくて悔しくて、なんでこんなことになってるんだろう?ってそしたら、自分の中から怒りが湧いてきて、誰が私をこんなことにした!原因はなんだ!って。
直子
ええ!?(なぜ怒る?)
恵子先生
わかるでしょ?もうこれは誰かのせいだって!そこで浮かんできた!ある人物が!
直子
(わからない笑)だ、誰なんです??

倉地加奈子さんとの再会

恵子先生
倉地加奈子という人。この人のせいだ!って。
直子
え?
恵子先生
実は今のパン教室があるのは、10年前、倉地加奈子さんの教室運営のためのオンライン講座を受講して、その教えを忠実に守ってやってきたからなんだよね。当時、教室運営を教えるコンサルタントの走りだった人。
直子
え?恵子先生に先生がいたんだ!
恵子先生
まあね。でもあの人の教えには更年期のことは書いてなかった。どうしてくれるんだ!と。それで私は倉地加奈子さんに連絡を取ったんだよね。
直子
ええ!?そんな理由で?
恵子先生
そう。そしたら、zoomで話をすることになってね。聞いたわけ。私更年期障害になってしまったんですけど、どうしたらいいですか?と。
直子
て、展開はや!それでその人はなんて答えたんですか?
恵子先生
体が壊れたってことは自分の進みたい方向に進んでいないことが原因なんだよ、って。それに合わせた教室にすればいいよって言われた。
直子
え?更年期障害ですよね?恵子先生の体の不調の原因は。
恵子先生
そう。でも加奈子さんが言うには、自分がやりたい教室を運営していたら、更年期ともうまく付き合えるし、たまたま更年期で体に出ているけど、今の恵子さんは働き方を見つめ直す時かもしれないねって。
直子
へえ。それで恵子先生はどうされたんですか?
恵子先生
うん。加奈子さんの言うことも合っているんだよね。週に5日以上、ずっとパン教室やってきたけど、年齢的なこともあって、若い時は良かったんだけど、体力的にも今の働き方が合わなくなってきたのは事実。更年期障害が出たのも、その無理がたたって強烈に出てしまったのかもしれないって思うところもあったし。
直子
それでそれで?
恵子先生
うん。それで加奈子さんに聞いたわけ。私は加奈子さんが教えていた教室運営のやり方をずっとやってきました。でも今から教室運営の形を変えるってどうやったらいいんですか?って。
直子
加奈子さんのやり方ですもんね。それで加奈子さんはなんて言ったんですか?
恵子先生
加奈子さんの言ったことはこう。

ー 加奈子さん談

私は10年前から、教室運営で一番大事なのは、理念を持つことだと言ってきた。自分の本当にやりたい教室。連れていきたい生徒さんを設定し、それを元に仕組みを作る。これが大事。

多分だけど、恵子さんは理念が少しずれていて、集めたい人自体がずれちゃってるんじゃない?ただ恵子さんはバリバリと仕事ができる人だから、ちょっとずれていてもできちゃうし、辛くても我慢できちゃう。それが年齢という壁に当たって、今回露呈した。

まさに今こそ、教室の理念というか、自分の集めたい人を再度クリアにして再出発する時だと思うよ。

直子
恵子先生にそんなこと言う人いるんですね。
恵子先生
私にそんなこと言うの、加奈子さんくらいだよ(笑)でも、確かに体に出ているし、最近集まってくれる生徒さんに違和感を感じてる部分もあったから、じゃあその教室の理念はどう再設定したらいいですか?って聞いたら加奈子さんはこう言ったんだよね。教室の理念もそうだけど、今こそ自分の人生の方向性を一つに決める時だって。
直子
人生の方向性?
恵子先生
うん。それが決まれば教室の理念がはっきりするし、何を提供すればいいかも、集めたい人もわかるって。
直子
ふーん。
恵子先生
私はすぐに協力してください!って加奈子さんに言ったんだよね。
直子
すごい行動力!
恵子先生
でも私って確かに、方向性が決まればどんどん動いていけるところがあって、方向性ってなかなか自分で決めるのは難しいし、加奈子さんは私の師匠みたいな人だから、加奈子さんが導いてくれるなら決めてもらいたいなって。
直子
へえ。それでどうしたんですか?

未来書き換え自分年表で見えた教室の理念

恵子先生
加奈子さんはこの10年で習い事の講師のコンサルではなく、未来書き換え自分年表という講座の開発者になっていて、協会の会長になっていた。その講座はまさに、人生の方向性とか自分の特技を明確にするための講座で、私はその講座を受けることにしたんだよ。
直子
未来書き換え自分年表?
恵子先生
そう。講座というより自分の内観ツールみたいな感じのもの。0歳から22歳までの自分の人生を振り返り、自分の方向性を明確にする。
直子
ふーん。でも教室の理念とか人生の方向性を決めるのに0歳から22歳までを振り返る必要があるんですか?
恵子先生
私も最初、そう思った。でも、加奈子さんが言うには、理念とか自分が本当に進みたい人生の方向性は、0歳から22歳までにすでに出来上がっているからだって。
直子
ふーん。そうなんですね。それで受けてみてどうだったんですか?
恵子先生
これがびっくり。私の今の性格も、これまでなぜ、子どもや生徒さんや講師の人たちを独立させたかったのかも全部わかってしまった。そして私がしてきた行動のすべては私の幼少期のある出来事が原因になっていた。
直子
ある出来事?
恵子先生
そう。私、小学校5年生の時に母を亡くしてるんだよね。その出来事が実は今の自分のすべてを作り、さらには教室運営のやり方や集めたい人までも決めていること。さらには、なぜ今、集めている人が自分が求めている人とずれがあるのか?それらすべてがはっきりとわかっちゃった。
直子
そ、そんなことまでわかるんですか?未来書き換え自分年表というものは。
恵子先生
そう。久しぶりに会った加奈子さんはいつの間にか、とんでもないツールを作る人になっていた。私は未来書き換え自分年表を受けて、自分の教室の理念のずれや、これからやっていきたい教室や集めたい人がはっきりとわかったんだよね。更年期障害が私を止めた理由も。まさかその理由が私の幼少期にあったなんてびっくりだったんだよ。
直子
ど、どうやってその理由がわかったんですか?
恵子先生
うん。それは私が実際に行った未来書き換え自分年表のことを話せばわかってくる。ちょっと長くなるけど聞きたい?
直子
はい。聞きたいです。私なんて恵子先生以上に、教室の方向性がわかってませんから。
恵子先生
私もそうだったよ。多分直子さんの答えも直子さんの幼少期にある。
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